ご挨拶 平成30年7月1日付けで岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学分野教授を拝命いたしました。私が教室の第11代目の教授となります。前任の岩月啓氏教授が築き上げられた診療・教育・研究の体制を堅守しつつ、最後の砦病院の皮膚科として、また臨床研究中核病院の皮膚科として、高度先進医療をさらに充実・発展させてまいります。 岡山大学病院皮膚科は西兵庫エリアから中国・四国エリアまでの53の関連病院を束ねて地域医療を担っております。アトピー性皮膚炎や乾癬のようなcommon diseasesの重症例、メラノーマや皮膚リンパ腫などの悪性腫瘍、膠原病・天疱瘡・類天疱瘡などの指定難病まで幅広く多彩な疾患の診療における、最後の砦病院としての責務を果たしております。年間の皮膚科入院患者はのべ5,800名であり、そのうち手術を要する症例が約70%を占めております。また、年間約400の手術症例数があります。このような診療体制の中で、当科ではgeneral medicine の中で通用する高い臨床能力を有する皮膚科医の養成と、探究的皮膚科学を目指す人材育成に主眼を置いています。皮膚科学は内科的な領域と外科的な領域の双方が関係しますが、全てに幅広く対応できるgeneralistであると同時に、特定の疾患におけるspecialistとしての両者の資質を兼ね備えた皮膚科医を、日常診療・カンファレンスや勉強会を通じて育成したいと考えております。 卒前教育においては、皮膚科の代表的な疾患、他科領域疾患の皮膚合併症を中心に講義をいたします。皮膚科に対する正しい知識をもった医師を育てるための教育は,私達に科せられた大切な使命の1つです。「皮膚所見から全身を診る。」という皮膚科の魅力を伝えます。皮膚科の診療において最も基本的なものは「皮疹を診る」という技能ですので、皮膚科の実習では皮疹の観察に重点を置き、病棟・外来研修を行います。同時に皮膚外科の実習時間を可能な限り確保し、実際の現場で必要な皮膚縫合等の基本技術を確実に修得して頂きます。 卒後教育においては、皮膚科学を選んだ入局者全員に皮膚科専門医の取得を目指して頂きます。皮膚科専門医は、一般医学の基礎的修練を基礎として多様な皮膚疾患の高度な専門的知識・診断・治療技術を修得し、関連領域に関する広い視野・知識をもって診療内容を高めることが要求されています。2018年から新専門医制度が始まり、様々な方面で修正・調整が必須です。専門医を志すレジデントが困惑することのないよう、安心して研修できるプログラムを提供します。 加えて、入局者には専門医取得と同時にサブスペシャリティの取得も勧めています。皮膚外科、基礎研究、膠原病診療、細菌感染症、ウイルス感染症、皮膚リンパ腫、あるいは皮膚レーザー診療など、何か一つ、秀でたものを持つことが皮膚科医人生をさらに豊かなものにすると信じております。 国際的に活躍できる若手を育成することもスーパーグローバル大学の使命です。海外留学に興味のある若手には是非、国際的なアカデミア皮膚科医を目指していただきたいと思います。前任教授が築き上げられた海外の皮膚科医との交流を維持し、若手の留学先の選択肢といたします。さらに私は2007年から2年間米国カリフォルニア大学サンディエゴ校皮膚科学講座(Richard Gallo教授)に留学しておりましたが、そのときの研究仲間が現在世界各国で教授になり、あるいは独立して自らの研究室を立ち上げております。私が留学時代に築いた国際交流も岡山大学の留学先として取り入れ、さらに若手の国際化を後押しいたします。 興味のある方はぜひお気軽にご連絡頂き、見学にお越し下さい。岡山大学皮膚科の魅力をお伝えいたします。 岡山大学病院皮膚科 科長 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚科学分野教授 森実 真 経歴 平成12年 岡山大学医学部医学科 卒業 平成18年 岡山大学大学院医歯学総合研究科 修了 平成19年 米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部皮膚科学講座 博士研究員 平成21年 岡山大学病院皮膚科 医員 平成21年 岡山大学病院皮膚科 助教 平成30年 岡山大学病院皮膚科 講師 平成30年7月~ 現職 専門分野 アトピー性皮膚炎、乾癬、表皮角化細胞の免疫学的応答